外国人の子らに在留を特別許可
外国人の在留資格・ビザ申請専門の行政書士金丸洋事務所です。
名古屋入管(名古屋出入国在留管理局)を中心に書類作成・申請を行っています。
8月4日の日経新聞によると、
斎藤法務大臣は8月4日の記者会見で、日本で生まれ育った在留資格のない外国人の子どもに、条件を満たせば「在留特別許可」を付与すると発表した。
許可の対象者については①日本で生まれた②小学校や中学校、高校に在学している③日本での生活を希望している――の3点を考慮する、としている。
子どもだけに在留許可を与えても自活できないので、子どもの保護者らにも就労可能な在留特別許可を与えるそうです。
一方で去年の最高裁の決定では真逆の判断が示されていました。
去年の最高裁の決定では、在留特別許可を求めた裁判での上告を退けました。
ペルー人の在留認めず判決確定
ペルー国籍の親子3人ともに国外退去の可能性があったのでしょうか。
母親は日本に来たのは、27年前であり、帰国してからの生活も大変になるでしょう。
お子さんは、長女19歳大学生、長男17歳高校生とであると、ペルーの言語であるスペイン語能力は疑問である。
親子が言うように、「日本がふるさとである」と思える。
裁判は、大阪高裁からの棄却に続いての棄却となったわけである。
しかし、ニュース記事だけでは分からないことがある。
この家族には父親が当時日本にいたのだが、現在は、ペルーにいる。
この父親は、2011年に(入管法違反)逮捕され、5年後の16年に強制送還されたという経緯がある。残された3人は、仮放免とされ日本に残った。
この難民法違反の内容は、入国時に偽装(友人に成りすま)して入国したことが発端である。
彼らが不法入国後、2人の子どもが生まれた。
子どもたちは、祖国ペルーを良くは知らないだろうし、日本で暮らしていきたいと思っているだろうし、そうあるべきだと思う。
子どもたちは、国籍はペルーとはいえ、日本で生まれ日本で暮らしてきたことを考えると、祖国に送還と言えるのだろうか。もはや全くの外国であるといってもいい。
1審判決の「子供たちは環境の変化に対応できる年齢になっていて、スペイン語を覚えて生活様式を身につけ人間関係を構築することは可能」としているのだが、仮にそうであるとしても、国の制度、法律によって、本人に罪がないのに人生が大きく変わってしまうのは、気の毒としか言いようがない。
強制送還(退去強制)は行政処分であるため、時効がない。
そのため、何年経っても不法滞在で捕まれば、このような結果となる場合が多いだろう。
また、再入国が難しくなる(一部緩和の改正あり)。
長女は日本の大学生とのことなので、留学の在留資格を取得する方法も考えられるが、前出のことを考えると難しいのだろう。
確かに両親が違法行為をしたことは、許されることではないが、その子供たちも同じように判断するのはあまりにも杓子定規な決定で納得いかない。
親の犯罪は子供の罪と言わんばかりの司法の硬直した考え方に、今回の法務大臣の対応は評価できる。